中国のHipHop規制

2018年1月25日
音楽

皆さん、こんにちは。

HipHopやRapと言うと、日本ですら、2010年頃までは、一般的にあまりよく知られていない音楽でしたが、最近では、J-Popなどのラップパートが当たり前になり、高校生ラップ選手権やフリースタイルダンジョンのようなイベント/テレビ番組などのブームで、一音楽ジャンルとして認知されるようになりました。

「The Rap of China」という番組は、中国の人気テレビ番組の一つですが、HipHop〜Rapミュージックは中国でも一大ブームで、その過熱ぶりは、音楽そのものだけではなく、中国政府に対するアンチメッセージにまで及び、とうとう、当局が番組や歌詞の規制、はたまた、HipHopそのものを規制しようという動きになったそうです。

この事象はさておき、私が、常々思うのは、「昨今のRapミュージックのほとんどは、HipHopでは無い」ということです。

2010年以降の音楽は、ジャンルレス化、クロスオーバー化が激しく、もはやジャンルで音楽を語るのは難しいのですが、いわゆるEDMと呼ばれる音楽の台頭によって、Rapミュージックは、エレクトロニックなサウンドにRapを乗せたサウンドが主流になりました。

そもそも、HipHopとは、DJとMC(Rapper)で成る音楽に、ダンスやグラフィティ、ファッションを含めた文化そのものを指す呼称だったのですが、その後は、音楽のジャンルとしての性格が強くなり、レコードからサンプリングした音とシンプルなドラムブレイクでビートが構成され、それにMCが歌詞を乗せていく、というスタイルがHipHopミュージックの基礎となったわけです。

ですので、掲題の「HipHop規制」というのは、厳密に言うと「Rap規制」が正しいわけで、音楽(Rapの裏側で鳴っている音)が規制されているわけではなく、Rapそのもの、もっと言えば「歌詞」の規制ということになります。

この認識の違いは、ほとんどの人には、どうでも良いことなのですが、私は、古くからDJ/リスナーとして、HipHopを愛聴しているため、どうしても、この違和感に馴染めないのです、笑

いずれにせよ、中国では、WeiboなどのSNSに続き、今度は「Rap」が規制対象になったわけですが、遡れば、Rapの始祖であるアメリカでも、Rapが一般に認知されるようになったのは、Public Enemyを筆頭としたアフリカン・アメリカンによる反人種差別メッセージからであって、その後も、ドラッグや貧困などのストリートメッセージが共感を得て、トップチャートの座を得るまでに至りましたので、いかに「Rap」というものがメッセージを伝える手段として強いものか、この中国の現象からも思い知らされます。

中国のように規制の強い国だからこそ生まれたブームだとは思いますが、The Rap of Chinaに共感する中国の若い世代が、国の枠組みをぶち壊すほどのパワーをもたらすような未来がくれば良いな、と、海を隔てた隣国から応援している次第です。


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