皆さん、こんにちは。
NEXTRAVELER関連の記事が多めになってきたので「高城剛フリーク」なのではないかと思われてしまいそうですが、そのNEXTRAVELERが制作した「Dias de Gallo y Galmantes(ガヨとカルマンテスの日々)」が公開されるということで劇場へ見に行ってきました。
NEXTRAVELERについては過去の製品紹介記事で説明してきましたので詳細は省略しますが、高城剛さんが企画・制作・販売している、高城さん自身が欲しいと思ったものを製品化しているブランド/プロジェクトです。
今回紹介する映画は高城剛さんのメールマガジンからスタッフを応募し、NEXTRAVELERのプロジェクトとして制作されたものです。撮影は全編キューバ、大掛かりな制作チームや機材を使わず、SONYのα1を10台とAppleのMac StudioにPro Display XDRのみで完成まで行ったという、映画制作の実験的要素も大きい作品です。メルマガで応募したスタッフも全てが経験者というわけではなく、映像制作においては素人同然の方もいたようで、そういった形でも映像制作に変革をもたらすプロジェクトになったのではないかと思います。
劇場公開は東京台場にあるユナイテッド・シネマで一週間だけの限定上映。その後は、Amazon Prime Videoなどで配信されるのではないかと思いますが、本記事作成時点では一週間だけの鑑賞チャンスです。
内容についてはあまり映画やドラマのネタバレを積極的に書くのは好きではないので、NEXTRAVELERのサイトの紹介をご覧になってみてください。
鑑賞後の私の感想ですが、あくまで私のイメージで言うと「Bananachips Love」アゲインという感じでした。「Bananachips Love」は高城さんのプロフィールや何かの記事でも触れられることがほとんどないので、すっかり知られていない作品になってしまいましたが、1991年にフジテレビで放送されていた深夜ドラマです。こちらは全編ニューヨーク撮影。ドラマは当時モデルだった松雪泰子さんの役柄であるリサを中心に、風変わりな登場人物に囲まれニューヨークの日々が綴られる作品です。このドラマの見どころは当時の様々なカルチャーが成熟している過程が映像として映し出されているところで、主役カップル二人の演技力はさておき、この時代を切り取った作品としていまだに色褪せない名作だと思っています。
なぜ私の中でこの「Bananachips Love」と重なったかと言えば、たくさんの屋上でのカット、スパイク・リーの弟のサンキ・リー演じるイキーとリサが逃げ回るシーン、街で社会問題について他愛もない愚痴を言う二人、オープンカーでの撮影、双子の起用(Diasの方は双子ではないかもしれないけれど似ている姉妹)、プラカードを持ったデモ、ティモシーリアリーやドラッギーな映像のスピリチュアルシーン、これらが「Dias〜」の中でパチっと重なって、「ああ高城作品を見ているんだな」という気分になりました。
もっともいずれの作品も高城剛さんが監督ということもありますから、アイデアは高城剛印なのだと思いますが、私の好きな「Bananachips Love」以降も沢山の映像が作られているものの、久しぶりに高城剛テイストな映像を見たような気がした次第です。
それから、一つだけちょっとしたネタバレになってしまうかもしれませんが、この作品自体、壮大なNEXTRAVELERのプロモーションムービーになっているようにも感じました。予告映像でも確認することができますが、主役の女性は終始NEXTRAVELERの BACKPACKを背負っています。中に入っているものが何か気になりつつ、最後まで中身が見えることはありませんでしたが、終盤にその女性がちょっとしたスピーチをするシーンは一番の盛り上がり場面で、その感動を以ってBACKPACKを背負った彼女がバーンと映し出される映像は、良い意味で効果的なプロモーションムービーになったのではないかと思います。
と言うのも、今回劇場鑑賞した方には「NEXTRAVELER FILMS & TOOLS」という映画パンフレット兼、NEXTRAVELERのカタログが特典で配布されるからです。全ページカラーでなんと350ページ超のボリューム。作中のシーンを切り取った写真集としての要素もありながら、これまでに配布・販売されたツールだけでなく、この制作プロジェクトや高城さん自身のためだけに作られたNEXTRAVELERのツールが多数紹介されていて、この冊子を楽しみに足を運んだ方も多いでしょう。
この冊子は劇場鑑賞者限定ですから、本記事のサムネイルの写真に表紙は載せたものの、中身は写真で紹介しません。色々と気になるツールが掲載されていましたが、私が「お」と思ったのは、Ableton Push 2とMaschine Mk3専用のBACKPACKです。なんと2台まとめてピッタリ収まり、外側にはケーブルやヘッドフォンなどが収納できそうなポケットがあります。思わず「欲しい」とは思いましたが、よく考えるとそれらを外に持ち出すことが無いので、あくまでも気になるツールの一つということで文字のみで紹介しておきます(笑)。
前述の通り写真集やカタログとして中身はもちろん秀逸なのですが、写真そのものやデザインも良いので一冊の本としてなかなか魅力的な仕上がりです。それから全ページカラーということもあって、開いた瞬間に感じられる心地よい紙やインクの匂いは、最近なかなか無い体験だったので、そういう意味でも劇場に足を運んだ甲斐がありました。
映画の話に戻りますが、鑑賞し終わった後は「ああ映画見たー」というような、いわゆる映像大作を見た後のような感じは無いのですが、小さなプロジェクト、小さな機材でこのクオリティーの作品ができるようになったということを前提に映画の細部を眺めていると、映像プロダクションの未来が感じられる作品だとわかります。又、特に高城剛さんのメルマガを購読されている方は、メルマガ内で発信されていることが作中の要所要所で発信されていますので、オンラインで配信されることがあれば、メルマガ読者の方はそうした点も見所になるでしょう。