スモーキー&ピーティーなスコッチを飲み比べてみた!Vol.2 – ARDBEG MONSTERS OF SMOKE

2022年6月25日
スコッチ・ウイスキー

皆さん、こんにちは。

以前の記事でもお話ししたように、私はスモーキー&ピーティーなスコッチウイスキーが大好きなのですが、まだまだ飲んでいない銘柄はあるものの、一番大好きなLAPHROAIGを筆頭に、掲題のARDBEG、PORT CHARLOTTE、KILCHOMAN、CAOL ILA、TALISKERなど、メジャーなピーテッドスコッチや、いくつかのマイナーブランドのスコッチを試した結果「LAPHROAIGだけ飲んでいればいいや」という結論に達して、LAPHROAIGばかり飲んでいました。

例えばバーに行って人に注いでもらい、何も考えずゆったりと過ごしてお金を払って帰る、という具合ならば、上記の銘柄や未開拓の銘柄を試したりして、どれも美味しく飲めるのですが、自宅飲みだと気持ち的にどうもそのようになれません。自宅にバーカウンターでも設置して「バー然」としたコーナーでも作ればいいのかもしれませんが、私はそこまでお酒に入れ込んでいるわけではないので、「美味しいお酒が飲みたい」と思った時に、どんなシチュエーションでも(私にとって)美味しく感じるお酒が飲みたいと思い、色々試した挙句に好みだった銘柄がLAPHROAIGだったのです。

ウイスキーの「スモーキー」や「ピーティー」については、以前の記事でもお話ししていますが、「スモーキー」は主にウイスキーの製造過程で樽に入れて熟成する際、樽の内側を火入れして焦がすことから感じられる香りやテイストです。樽の火入れは「チャーリング」とも呼ばれますが、火入れをして樽の内側を焦がし、そこにウイスキーの原酒を入れると、熟成過程で木の成分がウイスキーと混ざり、例えばバニラやチョコレート、あるいは、フルーツのような香りや甘さを作り出します。当然、木の内側は焦げていますので、そこに「ウッディー」や「スモーキー」といった香りも混ざっていきます。

私の好きなスコッチの場合は、多くの銘柄が、わざわざバーボンなどの他のお酒の熟成に使った樽を仕入れ、そこに原酒を注ぎ熟成させます。銘柄によっては、バーボン樽だけでなく、他の樽で熟成したものを混ぜ(バッティング)、味に深みをもたせたり、風味にバリエーションを出しています。

「スモーキー」と「ピーティー」はしばしば混同されることがありますが、「ピーティー」という風味は、ウイスキーの原料となる大麦を乾燥させる際、ピート(泥炭)と言う海岸に堆積した海藻を主な成分とする炭の塊を使用し、そのピートを燃やして燻された煙が大麦にフィルターされることで添加される香りです。このピートを燻した香りからは、海の香りだけでなく、ヨードの香りもすることから、しばしば「薬のような(Medicinal)」香りと表現されます。

そのため、ピーテッド(Peated/ピートで燻した香りのする)ウイスキーは、飲む人を選ぶお酒で、大概の人は「臭い」と感じて好きになることはありません。それでも、例えばウイスキーの風味が区別できるようになってきたりすると、このピートの強烈な香りが好きになり、極端にハマる人もお酒飲みの中には存在しています。ただ、私の場合は「ウイスキーの風味が区別できるようになった」のは後のことで、そもそも「木の香り」に取り憑かれていたことが、ウイスキーの香りにハマった原因です。前述の通り、ピーテッドウイスキーは海藻を由来とするピートの香りだけでなく、樽自体の木の風味や、火入れした炭の香りがついたスモーキーさが特徴ですので、木や植物の香りを「味わえる」お酒ということで、木の香り好きの私はドハマりしてしまったのです。

ということで、私はこれまでに色々なスモーキー&ピーティーなウイスキーを飲んでみましたが、巷で掲げられている「スモーキー」は、大概、樽の炭の香りというよりも、火入れした樽由来の「甘さ」「フルーティーさ」が反映されたお酒なのだと思い(好みではないので)飲むのをやめました。もちろん、口内で味の変化を感じる中で、「木」や「炭」の雰囲気は感じられるのですが、本当に「(木や炭っぽさを感じられる)スモーキー」と言えるお酒ではありません。

例えば、Johnnie WalkerのRed Labelはよく「スモーキー」と言われることがありますが、私からすると、スモーキーさは微塵も感じられません。スモーキーさを強調したことが売りのDouble Blackでさえ大したスモーキーさは無いと思いました。Johnnie Walkerは美味しいブレンデッドウイスキーですが、本当にスモーキーさを感じられるのはBlue Labelだけでしょう。

やや前置きが長くなりましたが「LAPHROAIGだけ飲んでいればいいや」と思っていた私が、つい先日近所のスーパーのお酒コーナーで気になるものを見つけ、我慢できずに購入したのが掲題の「ARDBEG MONSTERS OF SMOKE」です。

ARDBEGは、LAPHROAIGと同じくイギリスのアイラ島に蒸留所を構え、ピーテッドウイスキーとしてはLAPHROAIGと双璧を成す名の知れた銘柄です。ちなみに、前述のJohnnie Walkerは国内だとKIRINが取り扱っているのですが、最上位のBlue LabelだけはMHD(モエ・ヘネシー・ディアジオ)が販売し、このARDBEGも同じMHDにより販売されています。MHDはルイ・ヴィトンで有名なLVMHの傘下にありますので、ARDBEGはラグジュアリーなスコッチの一つとして位置付けられているのでしょう。

ARDBEG自体は飲んだことがありましたので味はわかっていましたが、最近「Wee Beastie」という熟成5年ながらも強烈なスモーキーさを売りにした銘柄が販売され、とても気になっていました。そして、ふととあるスーパーのお酒コーナーを眺めていると「MONSTERS OF SMOKE」というパッケージが目に入り、思わずレジに持参していたのです。「MONSTERS OF SMOKE」は200mlボトルの3本セットで、定番のARDBEG TEN、新しいARDBEG WEE BEASTIE、そして、3種の樽を使用したAN OAが箱にパックされています。お酒そのものも魅力ではありましたが、このアメコミのホラー作品かなにかのような雰囲気のパッケージがなかなかイイですよね。

パッケージの売りは「WEE BEASTIE」のようですが、同封されていた説明の順番は、TEN、WEE BEASTIE、AN OAでしたので、その並びでテイスティングしてみました。

TENはしばらく飲んでいなかったのですが、久しぶりに飲んでみると、LAPHROAIGより口当たりがやわらかいように感じます。味は、言うまでもなくピーティーさが前面に来るピーテッドウイスキー感。香りや口内での風味には、樽由来の甘さもやや感じられます。私はウイスキーの「甘さ」はごく控えめで良いので、とてもちょうど良く感じました。

次にWEE BEASTIE(ウィー・ビースティー)ですが、グラスに注いで香りを試してみた第一印象は「甘さ」でしたので、口に含む前にすぐに味が想像できました。そもそもテイティングノートには「バニラや梨」「チョコレート」などのキーワードがありましたので、正にその通りといった感じです。ただ、その甘さも「くどい」という感じではなく、その後にやってくる、スパイシーさや潮っぽさへ徐々にフェードインしていきますので、私の基準から言うと許容範囲でしょう。「チョコレートとクレオソートとタールの強烈な風味が爆発します」と記載がありましたが、これはその通りだと思います。カカオ多めのダークチョコレートに木の焦げた感じを混ぜ、ARDBEGらしいピーティーさが見え隠れする感じですね。ただ「ピーティー」「スモーキー」フリークの方には、物足りなさを感じるはずです。

最後のAN OA(アン・オー)は、3種の樽(バーボン樽、PXシェリー樽、新樽)の原酒から成る銘柄ですが、全体的にはWEE BEASTIEとよく似ている印象です。テイスティングノートには、「トフィー」「蜂蜜」「桃」「バナナ」「ミルクチョコレート」「オレンジ」など、甘い香りの要素が多めで、実際に飲んでみるとその通りだと思います。ただ、加水すると「アードベッグ独特のアロマが現れる」との記載がありましたので、水を少し加えてみたところ、確かにARDBEG TENのようなピーティー感は感じられました。

3つを比較すると、やはり「TEN」が一番美味しいという感想です。私は「スモーキー」「ピーティー」なものを好んでいるので仕方ありませんが、他の2銘柄は「リピートしたくなるほどではない」というのが正直な感想です(お酒としては美味しいのですが)。

なんにせよ、WEE BEASTIEの売り文句と、このパッケージデザイン(200ml3本というのもいいですよね)に惹かれて購入してしまいましたが、結論としては、これからも自宅ではLAPHROAIGだけを愛飲していくことになりそうです、笑。

ちなみに、最近のお酒のおともはTyrrellsのポテトチップス「lightly sea salted」です。イギリスは「食べ物が不味い」とよく言われてきましたが、このポテトチップスは味も控えめでとても美味しいです。なにせ、アイラ島のあるイギリス産というだけでなく、sea saltedというのがまた良いですよね。

— 追記 —

その後、WEE BEASTIEとAN OAを飲んでいたところ、WEE BEASTIEは大きめの丸氷から溶けた水とゆっくり混ざることで味の深さが感じられるようになり、割とクセになる飲み口に変わりました、笑。AN OAはWEE BEASTIEよりもややアルコールの刺激が感じられるものの、同じく丸氷のロックで飲んでみると風合いが変化し、こちらも割とクセになりそうな感じに…笑。特に「肉」「タール」の風合いが丁度良い具合になり、甘さはフラットに。ニートで飲んだ時よりもバランスが取れて、なんとも言えず「もう一杯飲みたい」という雰囲気に感じられました。


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