Web3/ENSドメインを取得してみた!

2022年6月5日
Web3 インターネット 仮想通貨

皆さん、こんにちは。

この2〜3年で「NFT」や「メタバース」、「Web3」といったキーワードを耳にするようになった方も多いかと思いますが、どちらかと言えば、技術的革新というよりも、市場に溢れたお金の行き先として一時的にそれらが騒がれた印象の方が強かったのではないかと思います。

しかし、70,000ドルの最高値を付けたBitcoinも現在はおよそ半値となり、その他の仮想通貨の価格下落と共にNFTブームは下火に。最近ではSTEPNなどのDappsと呼ばれるブロックチェーンアプリも話題となりましたが、LUNAの暴落に釣られるかの如く、STEPNのトークンであるGSTの価格も下がり続け、華やかに見えた「非中央集権」が売りの「Web3」界隈もやや冷え込みつつある状況です。

ところで「Web3」とは言うものの「一体なんぞや」という人の方が多いでしょうし、NFTを売買したり、STEPNなどを楽しんでいる方も、その背景にある「Web3」については、よくわかっていないのではないでしょうか。

Web3をおおまかに説明すれば、「ブロックチェーンネットワーク上に構築される分散型インターネット」と言ったところですが、そのノード(ネットワーク)は各参加者により構築されるため一部の有力者や権力者による影響を回避することができ、又、データの正確性はネットワークを構築する参加者のコンピューターによって管理(計算)されるため、その最大の売りである「非中央集権的インターネット」を実現できる、というのが「Web3」の特徴と言えます。

しかし以前の記事でもお話ししたように、どんなにWeb3ネットワークが既存のインターネットと別の道を歩むことになったとしても、そのインフラは国家や大企業が敷設したものであって、「中央集権的」な国や組織が持つ回線(物理的ネットワーク)を使用している以上は、完全な「非中央集権」とは言えません。これも以前に書きましたが、それらの物理的ネットワークを「非中央集権」信奉者が収奪でもしない限りは、完全な「非中央集権」となることは無いのです。

私はネットワークが「中央主権的」であろうが「非中央集権的」であろうがどちらでも良いのですが、拝金主義の「Web3」ブームもやや落ち着いてきたので、天邪鬼な私はそろそろどんなものか覗いてみようかと、まずはENSドメインを取得してみました。

「ENSドメイン」の「ENS」とは「Ethereum Name Service」の略で、ENSドメインは、仮想通貨としても知られているEthereumのネットワーク上で動作するドメイン名を指します。

ご存知のように、既存のインターネットにもドメイン名があり、ネットワーク上のアドレスの可読性と汎用性を高めるため、「google.com」のような名前に置き換えるというのがドメイン名の役割です。

コンピューターがインターネットに参加するためには「IPアドレス」と呼ばれるアドレスを付与してもらう必要がありますが、皆さんが使っているPCやスマートフォンも、回線業者や携帯電話キャリアにIPアドレスが付与されることで、メッセージを送ったりウェブサイトを閲覧できるようになります。このIPアドレスは、例えばGoogleやYouTubeといったウェブサイトを公開しているコンピューター(サーバー)にも割り当てられていて、皆さんの家に住所(アドレス)があるのと同じように、そのIPアドレスを参照し、GoogleやYouTubeのコンピューターにたどり着けるようになっています。

この「IPアドレス」にはV4とV6の2つのバージョンがあり、V4の場合は「192.168.10.25」のように、ドット(.)区切りで数字が4つ割り当てられます(具体的にはクラスやサブネットマスクといった範囲がありますが説明は省略します)。V6の場合は「2400:4051:26b2:5c00:117:9971:ff4:2aed」のように更に長いアドレスが割り当てられるのですが、これはインターネットの爆発的な拡大によりV4のアドレスが枯渇することを想定して追加策定されたものです(V4アドレスは、IPアドレスを管理するICANNの発表上だと2011年に枯渇しています)。

いずれにせよ、これらを人間が管理するには分かりづらいため、上述の「ドメイン名」に置き換えられるようになりました。例えばGoogleのIPアドレスを引いてみるとV4なら「142.250.199.110」、V6ならば「2404:6800:4004:822::200e」となりますが、これでは誰もGoogleにアクセスしてくれなくなりますので、「google.com」というドメイン名が割り当てられています(昨今は検索する際、キーワードを入れるだけなのでドメイン名すら入力しませんが)。

現在は、誰でもドメイン名を取得できますし、ちょっと詳しい人であればウェブサイトへの割り当てなども簡単に設定できます。しかし、インターネットが常時接続でなかった時代は、ドメイン名の取得や運用も敷居が高かったため、個人で使用する人はめったにいませんでした。当時の私はプログラミングと別にサーバーやネットワークにもハマっていたのですが、多くの人が自分でどうにかできない(仕組みすら知らない)「ドメイン名」を自分で自由に使用できることを知り、自前のUNIXサーバーでDNSを稼働し、嬉々としてドメイン名を運用していたのです。

やや話が脱線しましたが、そのドメイン名の「Web3版」とも言える「ENSドメイン」をいじってみようと、取得手続きをしてみました。

既存のインターネットのドメイン名は「レジストラー」と呼ばれる登録業者のウェブサイトで申し込み、クレジットカードなどでお金を支払えば取得できますが、「ENSドメイン」は円やドルなどの法定通貨で取得することはできません。

先の説明の通り、ENSドメインはEthereum上で稼働していることもあり、又、背景には「非中央集権」というテーマもありますので、取得には仮想通貨であるEthereumでの支払いが必要になります。

Web3ドメイン/ENSドメインの登録業者は少なく、選択肢はさほどありません。まずは代表的なところでと思い、文字通りのタイトルですが「ENS(https://app.ens.domains/)」のサイトで取得することにしました。

料金は、文字数で決められていて、5文字以上であれば年間5ドル、4文字は160ドル、3文字は640ドルとなり、これに加えてGAS代と呼ばれる手数料が加算されます。GAS代とは、Ethereumネットワーク上でドメインの登録情報をブロックチェーン上に記録する際、ノードを構成するコンピューターの計算が必要になりますので、その手数料としてかかる費用です。これは申請時に登録期間を増やすことでその年数分を一括して払うため、例えば1年で申請した場合、その後に更新し続けるならば1年毎にGAS代が必要になります。ですので、年数は長めにした方がお得となります。私は3年で申請しましたが、ドメイン代と合わせて40ドル程度でした。GAS代は変動しますので、タイミングによってはもっと安く取得できます。

支払いはEthereumが必要なわけですが、支払時には、ENSのアカウントと自分のWallet(仮想通貨のデジタル財布的なもの)を接続する必要があります。いくつか方法はありますが、もっとも簡便な方法はMetaMask(https://metamask.io/)のWalletを使用する方法です。MetaMaskはウェブブラウザの機能拡張として使用できますが、Safariのみ対応していません。MetaMaskは、インストール後にアカウントを登録・設定すればすぐに使うことができます。

Ethereumは適当な取引所で必要な分を購入し、発行されたMetaMaskのWalletアドレスへ送金します。必要なEthereumがWalletにあれば、ENSでの申請後、およそ数分で登録が完了します。

ENSドメインは、Ethereumネットワーク上のアドレスに割り当てられるのですが、手っ取り早く活用できるのはWalletへの割り当てでしょう。Walletアドレスを手入力することは滅多にありませんが「0x08196105a1B6210e8FAF940f903AB84A5A8EABCDE」のような長い英数字の組み合わせのため、入力ミスで誤送金してしまう可能性もあります。これを「yourname.eth」のようなENSドメイン名とすれば、自分のWallet間送金だけでなく、誰かにアドレスを教える場合にも誤入力を防ぐことができます。

既存のインターネットドメイン名では、ウェブサイトやメールアドレスに名前を割り当てるだけでしたが、Web3/ENSドメインでは、ブロックチェーンネットワーク上のアドレスとして、Ethereum、Bitcoin、Litecoin、Dogecoinのアドレスを登録でき、他には、TEXT RECORDとして、メールアドレス、ウェブサイトのURL、アバター名、ドメインなどの説明、注意事項、キーワード、Discord、Github、Reddit、Twitter、Telegramのアカウント、ドメイン管理の代理人名が登録できます。加えて、サブドメインも登録できますので、取得したドメインを目的別に使用することも可能です。

更に「CONTENT」というレコードがありますが、これは「IPFS」と呼ばれる、ブロックチェーン上のファイルシステムにあるデータの場所を指定するレコードです。「IPFS」とは「Interplanetary(惑星間)File System」の略だそうですが、その名称はさておき、これも既存のインターネットとの差別化に寄与する技術の一つです。

単純に言えば、データ自体は、これまでのインターネットと同様、どこかのコンピューターで公開するだけなのですが、IPFS上に公開されたデータは、同一ネットワーク上に参加している他のコンピューターに共有され、つまり、データ自体が分散化し、そのデータがIPFS上のコンピューターに存在する限りは、公開した大元のコンピューターがオフラインであってもアクセスが可能になります(これは、IPFSのサイトの説明にもあるように、BitTorrentなどのP2Pネットワークと同様の仕組みです)。

又、データはMultiHashと呼ばれる構造で暗号化され、各データはCID(Content Identifier)というユニークなIDが振られるため、ファイル名が「photo.jpg」のような一般的な名称だったとしても、IPFS上ではCIDで識別され、名称だけでなくデータそのものの唯一性が証明されるようになります。

IPFS自体は、デスクトップ版のアプリケーションやウェブブラウザの機能拡張としても利用できるため、難しい設定なしにネットワークに参加することができます。ウェブサイトなどもじきにIPFS上で利用できるようになるのかと思いますが、現時点では、IPFSプロジェクトが提供するゲートウェイ経由でウェブブラウザに表示する形ですし、利用者数やコンテンツボリュームなども考えると、あまり有用性はありません。尚、ゲートウェイ経由とは言え「ipfs://」で始まるURLでファイルにアクセスができますが、これもまたSafariのみ対応していません。

なんにせよ、新しい技術には興味尽きないので、ENSドメインやIPFSについて色々と調べてみましたが、技術的には面白いものの、現時点では大したことができないので、あまり「革新性」は見出せないという感想でした。

メタバース系は、もう少し気軽に使えるハードウェアが普及すれば良いと思っていますが、VR Chatなどの仮想世界と物理的な世界を融合させるシステムが現れて、その上に、Web3ドメインやIPFSのようなものが乗っかってくれば、もう少し面白くなるのかもしれませんね。

とりあえずは技術動向を追いかけつつ、面白いアイデアが思いついたら、何か開発したいと思います、笑。


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