SONY LSPX-S3 を購入してみた!

2022年1月3日
Gadget インターネット 音楽

皆さん、こんにちは。

最近は「音楽鑑賞」という言い方もあまり聞かなくなりましたが、「音楽を聴く」という行為はスマートフォン普及以前に比べてより身近に、そして、パーソナルなものとなり、リスニングするデバイスはスマートフォンやタブレットへと置き換えられていきました。

その理由の一つは、高速インターネットとスマートフォンの普及により手元の小さな機器で音楽を聴けるようになったことにありますが、もう一つの理由は、違法アップロードも含めたYouTubeでの「無料の音楽」にあるでしょう。

YouTubeが一般的に利用され始めた頃は、音楽レーベル各社がCD売り上げ低下の矛先として違法アップロード削除に躍起になり、弁護士を引き連れてYouTubeに削除要請を行ったり、権利申請をしてアップロードを拒否するよう設定していました。

ところがインターネットの広告収入が他メディアを上回り出すと、YouTube配信者の広告収入がそれなりにうまくいっていることに気づき始め、今度は「どうやったらYouTubeで儲かるのか?」という相談をしにYouTubeへやってくるようになります。

今では広く知られている情報ですが、YouTubeにデータをアップロードする際、システム側で映像や音声を解析し、既に権利申請されているデータだった場合は、警告を出したり、あるいは、アップロード自体を拒否することができます。又、アップロードが通った場合も、権利申請者のマネタイズが有効になっていると、他アカウントの動画や音声であっても広告収入は権利申請者に入ります。つまり、違法アップロードであったとしても、権利申請さえしていれば広告収入が自動的に入ってきますので、むしろ「勝手に使ってくれた方が儲かる」という仕組みとなっているのです。

故に、音質の悪いデータを使った違法アップロードも含め、YouTubeには「無料の音楽」が増え始めたため、わざわざお店に行ってCDを購入したり、更にはオンラインで曲を購入してダウンロードといった行為さえも必要とせず、誰もが気軽に沢山の音楽を聴ける時代となりました。

その後、サブスクリプション型の音楽配信サービスも一般化し、良くも悪くも音楽の価値は薄められていきます。

ミュージシャンやレーベルは「音楽で儲ける」ことに工夫が必要になりましたが、聴く側にとっては選択肢も増え、知らないジャンルの音楽やアーティストを簡単に見つけられるようになったり、自ら探すまでもなくオススメしてくれるようになりましたので、「音楽鑑賞」自体はスマートフォン以前のように「高尚なもの」では無くなりました。

現在はスマートフォン付属のイヤフォンも高音質化し、ストリーミングサービスもMP3音質から所謂ハイレゾクオリティーへとアップグレードしていますが、それでも「音楽体験」という意味では、「スマートフォン以前よりダウングレードしてしまった」ことに気づいていない人がほとんどだと思います。

もちろん今後数年で状況は変わっていくかと思いますが、大きなスピーカーから発せられる身体に響くベース音、目の前で演奏しているかのような艶のある楽器の音、といった体験は、YouTubeに適当にアップロードされた音源や、スマートフォン付属の廉価なイヤフォンでは再現できません。

とは言え、音楽は娯楽ですし、聴き方や感じ方も様々。私は大の音楽好きですが、オーディオマニアでも無ければ、フェスやライブに足繁く通う人でもないので、音楽の楽しみ方を主張したり強要するつもりはありません。ただ、現在のYouTube/スマートフォン世代は(自身が気づかず)音楽を十分に楽しめてないのが残念に思う次第です。

しかしながら、やがては以前にお話ししたVRやメタバースのようなものの進化の中で、神経直結型のオーディオデバイスが開発され、物理的なスピーカー以上の音楽体験ができるようになるかもしれません。

と、かなり前置きが長くなりましたが、掲題の「LSPX-S3」は、ソニーから販売されている「グラスサウンドスピーカー」と呼ばれるスピーカーです。

文字通り、再生される音のほとんどは円筒状のガラスから発せられます。皆さんがよく目にしているであろうスピーカーは、コーンと呼ばれる円錐状の振動板から音が発せされますが、この製品はガラス管が振動することで音が放射される仕組みになっています。

ガラス管であることが必ずしも良いということではありませんが、このソニーのグラススピーカーは音が360度に広がりながらも減衰が少なく、少し離れた場所でもクッキリとしたサウンドを楽しめるように作られているため、特にリビングのような場所で聴くには最適な製品です。

そもそも、なぜこの製品を購入したかと言えば、ベッドサイドに置くランプが欲しかったからです、笑

写真からも分かる通り、ガラス管の根元にはLEDランプが組み込まれていて、ランタンのようなほのかな明かりを灯すことができます。メーカー価格でおよそ4万円もしますので、ベッドサイドのランプと考えるとやや高価ですが、音質もなかなか、デザインも良い、そして、キャッシュバックキャンペーンもありましたので思わずオーダーしてしまいました。

前モデル「LSPX-S2」対応のハイレゾ再生が省略されているため、音質が向上したとうたわれている一方で心配もありましたが、本機が届いて音楽を再生してみるとハイレゾの有無はあまり気になりません。

低音は「Bass Boost」の設定がありますので、これを有効にすると部屋聴きならば十分な低音が出ます。しかし、最大の売りであるガラス管スピーカーは高域を再生しますので、特性的には、楽器や声などの繊細さが感じられる曲向けと言えるでしょう。私が最初にかけた音楽は低音重視のビートものでしたので、一瞬「ややイマイチか?」と思ってしまいましたが、その後にジャズをかけてみると期待通りの出音で、ペットボトル程度のサイズであることを考えれば、艶やかで優しい音の広がりは非常に満足です。

私のイメージは、「ちょっと音にこだわったカフェやダイナーの店内で、どこからともなくさりげなく音が聞こえてくる感じ」でしたので、その意味では今回のニーズに合っています。

音楽ではありませんが、試しに映画やドラマを再生してみたところ、中高域が優れているだけあり、セリフなどはとても聞き取りやすいと感じました。ただ、音が四方に放射すると言ってもステレオ再生ではありませんので、映画やドラマ本来の音声は楽しめません(本機を複数用意してセットアップするとステレオ再生も可能になります)。

なんにせよ、ベッドサイドランプが欲しいと思っていたところに、良質な音楽を楽しめる機能がついたハイセンスなランプが手に入ったので満足度は高いです。

本稿執筆時点ではコロナ自粛やリモートワークがまだまだ続くかと思いますので、皆さんも、ちょっと高音質なスピーカーで良質な音楽を楽しんでみてはいかがでしょうか?


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