スモーキー&ピーティーなスコッチを飲み比べてみた!

2021年10月22日
スコッチ・ウイスキー

皆さん、こんにちは。

私は特定の香りフェチで、特に木の香りが好きなので、木そのものの匂いはもちろん、スモークした匂いを嗅ぐと香りへの欲求が満たされます。

スモークという点ではスモークしたハムやチーズなども好きなのですが、私の場合は、そのスモークの香自体を楽しみたく、時々シガーバーで葉巻を嗜んだり、スモーキーな味や香りのするスコッチ・ウイスキーを楽しんでいます。

お酒を飲まない方は「飲み物なのにスモーキー?」と思われるかも知れませんが、スコッチ・ウイスキー、つまり、イギリスのスコットランド地方で作られるウイスキーは、その製造工程からスモーキーな香りのするウイスキーが作られます。

スコッチの原料は大麦の麦芽ですが、初めの製造工程で麦芽を水に漬け、その後、炭を使用し香り付けを兼ねた乾燥をおこないます。スコッチの場合、この工程で使用されるのが「ピート」と呼ばれる泥炭です。スコットランドは海に囲まれており、その海岸に打ち上げられた海藻と土が混ざって堆積し、時間が経過することで泥になり炭化します。この泥炭化した「ピート」と呼ばれる原料を使って燻すことで麦芽に独特の香りが付き、蒸留されるウイスキーにもピートの香りがするようになります。ちなみに不思議な話ですが、火を加えて煙になると香りのするピートは、それ自体を味見すると味も匂いもしません(自分で試してみました)。

又、スコッチに限らず、蒸留されたウイスキーは、しばらく木の樽に詰められ何年か寝かされます。年月を経て、ウイスキーに樽の香りが付くのですが、樽に使われる木の種類により、ウッディーな香りだけでなく、ヴァニラや蜂蜜などの甘い香りが加えられていきます。

ウイスキーは嗜好品ですので「高ければ良い」というわけではないのですが、安いウイスキーは樽の中で寝かせる年数が短いため、風合いが浅くなります。樽の中で年数を減ると、同じアルコール度数のウイスキーであっても、アルコール独特の刺激がまろやかになり、口当たりの良いウイスキーへと熟成されていきます。安い価格帯のウイスキーがハイボールなどにオススメされているのは、アルコールの刺激が強く、全体的に味の深みが無いものが多いため、炭酸水や氷と混ぜることでちょうど良くなるからです。

私はだいぶお酒が飲める方で、遺伝的に肝機能が強いためか、一般的な人が泥酔するくらいお酒を飲んでもほとんど酔いが回らず、「ほろ酔い」という状態になることがほとんどありません。これは自慢でもなんでもなく、自分で「お酒のコスパが悪い」と思っているのですが、友人などとお酒を飲む機会がある際は、元々口数が少ない性格もあり、皆の酔いのテンションに追いつくため、序盤からロックなどの強いお酒を飲むこともしばしばです。「お酒に強い」と言っても、アルコール度数の高いお酒ばかり飲んでいたり酒量が多ければ肝臓への負担も高くなりますし、お財布への負担も高くなります。ですので、よっぽど盛り上がった方が良い場面でなければ、その時にメニューにある一番美味しそうなお酒だけを飲むようにしています。

もっとも、この数年はコロナ禍もあり、飲食店でお酒を飲まなくなったので、自宅で本当に好きなお酒だけを楽しむ機会が増えました。その流れもあって、元々大好きだったスモーキー&ピーティーなスコッチを中心に飲むようになったのです。

スコッチには沢山のブランドや商品がありますが、私の最も好きなスコッチは「ラフロイグ」です。ラフロイグは、ヘブリディーズと呼ばれるスコットランド西端の群島エリアにある蒸留所で作られるスコッチで、あのチャールズ皇太子が大好きな銘柄に挙げるほどの名スコッチウイスキーです。

ただ、ラフロイグは、そのプロモーション自体でも半ば自虐的にうたっているように、好きになるか嫌いになるか、かなりはっきりしているお酒です。

なぜならば、ラフロイグは、ピートとスモークの香りの度合がどのスコッチよりも強く、加えて、ヨードの匂い、平たく言えば薬品のような匂いがするため、ほとんどの人が匂いを嗅いで忌避してしまいます。

しかし一度好きになれば、ハマることうけあい。この強い香りと口当たりのまろやかさに魅了されていきます。

私ものその一人で、お酒を飲むならばラフロイグだけでいいくらい、もっと言えば、ラフロイグの蛇口が欲しいくらい、ラフロイグ好きになってしまいました。

とは言え、ラフロイグも円安やインフレの影響、あるいは、ハードリカー(ウイスキーのようなアルコール濃度の強いお酒)がタバコと同様に規制されつつある流れもあるため、価格が少しづつ高騰しています。ですので、ラフロイグをちびちび飲むのも良いのですが、前述の通り、私自身のお酒のコスパの悪さから、アルコール度数40度のスコッチもあっという間に無くなってしまうので、リーズナブルなスモーキー&ピーティーなスコッチを探しつつ飲み比べてみました。

前置きが長くなりましたが、本稿執筆時点でラフロイグが5,000円前後となっていますので、3,000円前後のスコッチを比較対象としています。

まずは「アイリーク イーラッハ」。価格は3,000円強といったところで、ラフロイグのセレクトカスクよりも安く飲めます。ボトルには「From The Queen Of The Hebrides」と記載があり、ヘブリディーズ群島の南側を意味する「The Queen」と言うことで、同じ場所にあるラフロイグ蒸留所発なのではないかという噂もあります。私の好きな、ピート、スモーク、ヨードの香りはラフロイグには敵わないものの、同じエリア(あるいは同じ蒸留所?)で作られているためか、それらの雰囲気は十分に楽しめます。ただ、やはり年数が若いためか、ほどほどにアルコールの刺激もあり、甘いフレイバーも前面にやってきます。3,000円が安いか高いかはさておき、ラフロイグの市場価格を基準にすれば、お手頃なスモーキー&ピーティースコッチの一つです。

次は「アイラストーム」。価格は3,200〜3,500円。こちらも蒸留所は明らかにされていない銘柄ですが、パッケージやラベルデザインが示すように、スコットランドの海の雰囲気を象徴するようなテイストのスコッチです。特にラベルにも記載されている通り、甘いピートネスや海岸の香りが強く感じられます。1本目を飲んだ際には、やや甘さが前面に感じられたのですが、色々な銘柄を試してこちらに戻ってきたところ、スモークやピートの十分な印象を感じられる銘柄だと感じました。他の銘柄も同じですが、甘さやアルコールの刺激が強いものはロックやトワイスアップ(加水)にするとまろやかになります。開封後は、しばらくすると味わいがまろやかになっていき、ニートでもスモークやピートの風味がすぐに感じられます。味と関係ないのですが、個人的には箱とラベルデザインが気に入っています。ワイルドな雰囲気ながらも、箔を適度に使用して上品さ・高級さを演出するなど、なかなかセンスの良いデザインです。

三番目は「フィンラガン オリジナルピーティー」。こちらも蒸留所は不明。わざわざラベルに「Secret」などと書かれています。価格は2,700円前後で、先の2本よりややリーズナブルです。年数の若さからか、アルコールの刺激と甘さが第一印象で、その後にスモークやピートが感じられます。若さによる熟成の浅さはさておき、全体的には、ピート、スモーク、スイート、アルコールのバランスが平均している感じです。私はスモークとピートに偏っている方が良いので少し物足りないですが、価格を考えれば、スモーキー&ピーティーの気軽な一本と言えるでしょう。

四番目は「アイラ・ミスト オリジナルピーテッドブレンド」。販売価格は2,600円程度で、こちらも買いやすい価格です。ラベルには「ラフロイグを使用している」と記載がありますので、おそらくはラフロイグをキーモルトとして他のスコッチをブレンドしているようです。イーラッハもラフロイグ蒸留所じゃないかとの噂がありますが、イーラッハと比較すると、スモークやピートの感じは薄いです。色付けにカラメルを使用しているためか、あるいは、ブレンドしたウイスキー、又は樽(ヴァニリン)の影響か、甘さの強いスコッチです。化粧箱が無いのは良いとして、ラベルデザインがややダサいのが残念ですね。

今回比較したのは、上記4銘柄ですが、割とスーパーなどで買いやすくポピュラーなものとしては、歴史の長い「ボウモア」も候補に入ります。ただ私の感覚では、18年以上でないとピーティーな感じは上記の銘柄に敵いません。

格安な部類では、最近の商品として「ティーチャーズ」が挙げられるでしょう。私も何本か飲みましたが、開封時にややピートの香りがするものの、味わっている最中は、ほんのり余韻に感じられる程度で、ほとんどピーティーな感じはありません。「ティーチャーズ セレクト」という商品もありますが、ピーティーさはこちらの方が薄いです。

他に安価でスモーキーなスコッチとしては、「ジョニーウォーカー レッドラベル」「ホワイトホース」なども挙げられますが、私のような過度なスモーキー&ピーティーファンからすると物足りなすぎてリピートはできません。

値段的にかなり張りますが、「ジョニーウォーカー」の場合、「ブルーラベル」ならばスモーキー&ピーティーの欲求を満たすことができます。価格が価格だけに、私も滅多に飲むことはありませんが、ジョニーウォーカーはブルーを飲んだら他のラベルでは物足りなくなるくらい味が違います。日本国内では、他のラベルの販売元がキリンなのに、ブルーだけMDHグループなのも納得がいきます。

ちなみに、私の好きなラフロイグの中で一番安価な「セレクトカスク」は、やや若いだけあり、まろやかさは10年には届きません。ただ、ラフロイグ特有のピート、ヨード香はそれなりに強く、4,000円弱出そうと思うならば、良い選択肢です。

今回はリーズナブルなスモーキー&ピーティースコッチに焦点を絞りましたので、キルホーマンやラガヴーリン、アードベッグなど紹介しきれていない銘柄は他にもありますが、「スモーキー」や「ピーティー」が気になった方は、是非、紹介した上記4銘柄にチャレンジしてみてください。


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