「iPadで仕事する」について考えてみた!

2021年10月3日
Gadget iPadOS macOS Windows

皆さん、こんにちは。

最近はiPadも高性能になり、iPad Proには立派な純正キーボード&トラックパッド付きカバーが用意されているなど、活用の幅が広がりました。

iPad OS用のアプリは数多くリリースされ、PCでしかできなかったことも次第にiPadでできるようになっています。又、最新のiPad ProはM1チップセットが採用され、内蔵ストレージも最大2TBと、Macのような豪華仕様です。

しかし、12.9インチiPad Proをストレージ2TB、Wi-Fi + Cellularモデルに設定すると、その価格は税込で279,800円となり、24インチ M1 iMacをメモリ16GB、ストレージ2TBで構成した場合の287,800円と大差なくなります。

双方ともCPUやストレージの数値だけ見れば同程度であり、その性能を12.9インチで持ち運べる点を考えれば、279,800円は高くないようにも感じますが、macOSに比べればiPadOSでできることは限られており、この値段にはどうも納得がいきません。

iPadで仕事をしている人の記事を探してみると、ITmedia NEWSの「小寺信良のIT大作戦」というコラムに『iPad Pro 2021に対する「お、おう」感を分析する』という記事を発見し、ざっと目を通してみたところ、私の言いたいことが概ね書かれていました。

ここ最近は「iPadだけで仕事」という意見がチラホラ現れ、実際にiPadだけで仕事を完結している人もいますが、それはあくまでFaceTimeやZoomなどのオンライン会議、あるいは、WordやExcelで文書作成、Safariで調べ物をしてメールで連絡といったシンプルな作業で済む場合に限る、という話です。

それで事足りるのであれば、MacBook AirやProを持ち歩く必要はありませんが、それだけのためにiPad Proのような高価なタブレットが必要なのだろうか?という疑問が、上記の記事に書かれていました。

その疑問には私も同意で、どんなに製品自体は素晴らしくても、できることが限られるのであれば、単に高価で見栄えの良いタブレットに満足するだけではないのか?などと考えてしまいます(もちろん、値段など気にしない人は、面倒なことを考えずに一番スペックの高いものを買えば良いと思いますが)。

又、同記事に書かれているように、20万も出すのであれば、MacBook AirやProを買えばいいようにも思います。

とは言え、御託を並べてばかりいても仕方がないので、先日購入したiPad mini 6に使えそうなアプリを一通り入れて、どの程度仕事(+趣味)で使えるのか検証してみました。

まず、クリエイティブ系のアプリですが、絶対的にAdobeのアプリが必要になります。iPadOS版のPhotoshopやIllustratorは既に試していましたが、割と使えるレベルの機能が備わっています。ただ、私はMac版での作業にキーボードショートカットを多用し作業を効率化していますので、同様の操作できないことを考えると「十分」とは言い難いです。

動画編集は普段Premiere Proを使用していますが、iPad用にはPremiere Rushという簡易版が用意されています。しかし、単なる切り貼り程度であれば代替手段となるものの、細かなエフェクト操作やカラーグレーディングはできませんので、これも仕事で使用するのは厳しいと言えます。

ウェブサイトのデザインモックアップ/ワイヤフレームを作成するXDも用意されていますが、機能はプレビューやシェア、コミュニケーションだけですので、確認程度にしか使えません。

写真現像のためのLightroomはよくできていますが、編集項目はデスクトップ版よりも少なく、プリセットも作成できませんので、結局はデスクトップ版で現像作業をするように思います。

ビジネス系アプリではまずMicrosoft Officeが挙げられますが、Word、Excel、PowerPoint、いずれもデスクトップとほぼ同等の機能が使用できますので、これらの作業については不便がありません(とは言え、私はあまり使わないのですが)。

そして、私にとってもっとも必要なのはコーディング用のアプリです。以前は、Panic社のCode Editorというアプリを入れていて、時々出先で修正などが必要になった場合、使うことがありましたが、採算が合わなくなったという理由で開発中止となってしまいました。Macでは同社のNovaというエディターを愛用していますが、iPad版のリリース予定は無いとのことなので、他のアプリを探す必要があります。しかし、意外にもiPadOS用のコードエディターは少なく、一番機能が揃っていたのが「GoCoEdit」というアプリです(価格は1,100円)。

スクリーンショットなどである程度の仕様を予想していましたが、思った通りインターフェースはあまり洗練されていません。ただ、基本的なコーディング機能は備わっていますし、DropboxやGoogle Driveなどに保存されたファイルを直接編集することができて、FTP機能やHTMLページのプレビュー機能も備わっていますので、ウェブサイトを作成する際などには重宝しそうです。私は現在進行中のプロジェクトは全てGoogle Driveに同期していますので、Drive上のファイルを編集できるのであれば、Macに戻ってきた際に自動で同期されるため便利です。ただ、前述のNovaのような機能は備わっていませんので、「出先でも一応コーディングできる」という程度の役割に止まります。

ネットワーク系では、TerminalソフトにNovaと同じPanic社の「Prompt」を以前から使用しています。最近はサーバー管理の作業も少なくなったため、外出先からサーバーにssh接続することもめったにありませんが、いざという時にはあると便利です。必要にして十分な機能が備わっていますので、これは「使える」レベルと言えます。

Cloud管理系では、私が使用しているGoogle DriveもDropboxも、アプリの機能に不満はありません。

趣味の音楽制作ですが、Native Instruments MaschineのiPadOS版として簡易的なiMaschineというアプリが用意されています。しかし、あくまでも簡易版ですので、サンプリングやオーディオデータのインポート/エディットなど、Mac版に比べればかなり劣っています。

最近ハードウェアのAKAI MPC LIVE IIを購入したのですが、だいぶ操作に慣れてきたので、iPadOS用のiMPC Pro 2を購入してみました。価格は3,060円と微妙に高い値段設定ですが、最近のMPC系ハードウェア/ソフトウェアを使用している方であれば、馴染みのあるインターフェースで、すぐに使いこなすことができるでしょう。エフェクトなどが少ないので、作り込む際には少し役不足です。

サンプリング主体のアプリでもっとも出来が良いのは、Koala Samplerです。日本でも少し話題になったのでご存知の方も多いかと思いますが、例えばRolandのSP-404のようなことはほとんどできますし、サンプリングやエフェクト、ビートメイクも簡単かつ直感的にできるので、ビートものならばこれだけでそれなりの曲が作成できます。

DJアプリでは、最近だとdjayがAI的な機能なものを盛り込んでかなり進化していますが、私はNative Instrumental社のTRAKTORを使用していますので、TRAKTOR DJ 2をオススメします。NI純正のDJ CABLEだけあれば、どこでもDJができますし、KONTROL Z1があれば、より高音質で、かつ操作性良くプレイができます。もちろん、他のNI社製コントローラーにも対応しています。

と、やや長々と書いてしまいましたが、アプリ毎の評価をするとすれば、以下のような結果となります。

・Adobe Photoshop △
・Adobe Illustrator △
・Adobe Premiere Rush △
・Adobe Lightroom △
・Adobe XD ×
・Microsoft Office (Word/Excel/PowerPoint) ○
・GoCoEdit △
・Panic Prompt ○
・Google Drive ○
・Dropbox ○
・Native Instruments iMaschine ×
・AKAI iMPC Pro △
・Koala Sampler ○
・Native Instruments ○

と言うことで、私のニーズに合わせた評価なのでやや偏ってはいますが、クリエイティブ系〜コーダー系の方もだいたい同じ条件と考えれば「iPadは仕事では十分に使えない」という結論に至ります。

もしタブレットで仕事をするならば、2021年11月にリリースされる、MicrosoftのSurface Pro 8の方が良いでしょう。最小構成であれば148,280円で購入できますし、Core i7/16GB RAM/512GB SSDを選択しても247,280円ですから、ストレージを妥協すればiPad Proよりも安く購入できます。なによりWindowsが動いていますので、デスクトップソフトウェアを存分に使うことができるのです。

一方で音楽系はそれなりに遊べますし、SNSや動画サイトへすぐに写真や動画をアップしたいという向きであれば、追加のアプリを購入しなくても、Apple純正のiMovie、GarageBandだけでそれなりのクオリティーの動画や音楽を作成できます。カメラで撮ってすぐに素材を料理して投稿できますから、今の時代に合ったデバイスとも考えられます(それでもiPad Proは高価ですが)。

私はiPad mini 6を意気揚々と購入しましたが、あくまでもエンタメ用+α程度にしか考えていません。値段も59,800円ですから手ごろです。mini 5よりも画面サイズが広がり、SideCarでのサブディスプレイ化もできますので、MacBook Proのお供としては使い勝手がとても良いです。

ということで、iPad Proについて「できることと比較してかなり割高」という考えは払拭できませんでしたが、M1が実装されたので、妥当Surfaceを掲げ、ゆくゆくはmacOSが動作するようにしてほしいですね。


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