皆さん、こんにちは。
先日ニュースを眺めていたら、アップルストアのスタッフ対応を讃える記事がありました(https://www.theguardian.com/technology/2018/dec/03/claps-and-cheers-apple-stores-carefully-managed-drama)
アップルストアに行かれたことがある方はご存知かと思いますが、お店のサポートにはGeniusと呼ばれる専門スタッフが常駐しています。
そのGeniusの接客には、三つの「F」、「Feel」「Felt」「Found」というキーワードがあり、接客時に伝えられたことについて、自分も同じように「感じている」「感じた」「気づいた」ことを積極的に示すことで信頼につなげるというポリシーがあるそうです。
又、「バグ」や「問題」と言った言葉を、「重要な点」「状況」などと言った言葉に置き換え説明することで、お客に不安や不信感を与えない努力をしているようですが、確かに、私がサポートを受けている時にも、私の説明に共感しながら客側のメリットになるよう話を進めてくれたり、できるだけポジティブな言葉で回答してくれたりと、「意外と神対応だな」などと思ったことがあります。
もっとも、Appleともなると、ブランドイメージは特に重要なポイントですから、顧客に悪い印象を与えないことは必須の命題だとは思いますが、それにしても、こうした徹底ぶりが、世界で認められる製品を支えているのだなと思うと、Appleのような企業から見習うべき点は沢山あると気付かされます。
ビジネスの場では、尊敬語や謙譲語なども含めて、誰もが気を遣いながら話をしますが、このような言葉選びについては、意外に気にしていない人が多いように感じます。
私は主にIT系の仕事に関わることが多いのですが、IT系の仕事の場合、コミュニケーションロスで齟齬(そご)が発生して険悪な雰囲気になり、感情のぶつかり合いから最悪の結果を迎える、といったことをよく耳にします。
私自身も、常に完璧な進行ができているわけではありませんが、少なくとも、言葉選びには慎重になるよう気をつけています。
Appleのケースとも似ていますが、例えば、プログラミングなどには「不具合」がつきもので、完成に至るまでの確認期間には、なにかしらの「ミス」が見つかることもしばしばです。
しかし、私は、積極的に「不具合」や「ミス」という言葉は使わず、「記述漏れがあったので、一時的に正しく表示されていませんでした」などといった形で、事実を知らせながら、ネガティブなワードを避けるよう表現します。
『「漏れ」という言葉がネガティブではないか』と指摘されてしまいそうですが、いかに不安や不信感を募らせる表現を使わず、現状を正しく伝えられるかが重要なポイントです。
ただし、そこに虚偽の表現や、事実を捻じ曲げるような内容が含まれてはいけません。
又、何かミスを起こしてしまった場合も、謝るタイミングを見極めます。
「言いがかりでも、とりあえず無条件に謝る」ことも時には有効ですが、事実確認も無く過剰に誤解されている場合などは、相手が激昂しているところに平謝りすることで、自分の立場が回復しづらくなるだけでなく、逆に相手の怒りを高めてしまい、収集がつかなくなってしまうこともしばしばです。
自分になにかしらの瑕疵(かし)があったからこそ、冷静に事実を認識し、それを相手に正しく伝えることで、はじめて頭を下げれば、物事はよりスムーズに進めることができるでしょう。
グレイズ・アナトミーという、病院を舞台としたアメリカドラマがありますが、作中、インターンが患者の前で無神経な言葉遣いをして先輩ドクターに怒られるというシーンが度々現れます。
これは、病人や怪我人のような弱い立場におかれた人間にとって、言葉がけがいかに大切か、ということを描いたシーンですが、病人や怪我人に限らず、相手に不安や怒りを感じさせてしまうような場面では、その気持ちを増幅させない言葉選びが必要になります。
皆さんが唯一無二の絶対的なスキルの持ち主であれば、多少のミスや粗相があっても、クライアントは目をつぶってくれるかもしれませんが、いつかは訪れる自身のヒューマンエラーに冷静に対処するには、日々の気遣いの積み重ねが必要であり、人間同士のコミュニケーションだからこそ、「言葉選び」が自身の価値を担保する重要な役割を果たしてくれるはずです。
生業となる職業のスキルアップも必要ですが、自分自身の資質やスキルにプラスして、揺るぎないコミュニケーション能力を備えることができれば、やがては、世界的企業のような信頼と価値を獲得することができるでしょう!
この「不安を払拭する言葉選び!」は、また、本ブログやメルマガで掘り下げていきたいと思います。