皆さん、こんにちは。
私の子どもは、クラブチームに所属して毎週サッカーに勤しんでいるのですが、このところチーム全体の調子が悪く、公式戦でも連敗、国内有数のトップチームが集まる招待試合でも惨敗と、なかなか厳しい状況に追い込まれています。
子どもの所属するチームは、聞けばあのチームだとわかるプロチームのユースとして日本の活動がスタートしたのですが、昨年は1期生の1年目ということもあって個々のモチベーションも高く、都内強豪との練習試合でもほとんど善戦勝利し、自チーム主催の招待試合では国内の強豪を倒して優勝するなど、「これなら都大会ぐらいは優勝するのでは?」と、見ている側としても期待を膨らませていました。
ところが、冒頭でもお話ししたように、新年度以降は勝率も低く、その招待試合では目も当てられないほどの敗北ぶりで、応援する保護者として、又、ファンの一人として、暴動を起こしかねないほどの惨状でした、笑
もっとも、プレイしているのは選手たちであって、彼らに文句を言う筋合いも無いのですが、サッカーをかじったことのある一人として、プレイヤー目線での問題点を理解している身としては、なんとも心苦しい気持ちです。
不調の原因は、個々の努力という点も大きいのですが、それよりも大きな原因は「緊張感の欠如」です。
このチームは、元々スクールだけを運営していて、チームは持っていなかったのですが、私の子どもが小学校を卒業するタイミングで運良くユースチームが発足され、セレクションで選ばれて、チームの一員となることができました。
私の子どもは、6年生からそのスクールに通い始め、1年間でめざましく実力を伸ばしていったのですが、何がそこまでの原動力となったかと言えば、スクール内のほどよい「緊張感」でした。
スクールの上級生クラスは、一般クラスとトップクラスに分かれており、実力を認められた生徒はトップクラスに昇格し、努力の足りないトップクラスの生徒は一般クラスにふるい落とされるという、なかなか厳しいシステムがあります。
私の子どもは運良く一日目で実力を認められ、二日目からトップクラスに昇格し、クラスの最後に選抜される海外研修生にも選ばれたわけですが、そこまでの実力を出し切れたのは、毎週子どもが感じていた「緊張感」に他なりません。
その昇格システムもさることながら、様々なチームからやってくる選手に囲まれる会場へと、緊張しながらグラウンドに向かう子どもの心境は、見ている私にも伝わってくるほどでした。
しかし、ユースチームでは、選手数が少ないこともあって、ほとんどの選手が毎試合プレイすることができ、特別な競争心も生まれず1年が経過し、仲が良くなった選手たちは、良い意味でも悪い意味でも「緊張感」がほどけ、すっかり締まりのないチームとなってしまったのです。
とは言え、選手たちはまだ中学生ですし、個々の取り組み方も違いますので、彼らが早く意識を高めてくれることを願うばかりですが、この「緊張感」は、自分自身の実力、ひいては、潜在意識を引き起こすための燃料として、時に有効に働きます。
「火事場の馬鹿力」と昔から言うように、人間が本領を発揮するのは、逃げることのできない、とてつもない逼迫感や緊張感を感じている時です。
又、そのように逃げようのない状況に追い込まれると、人間に備わっている「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」によって、目の前に差し迫った状況を改善し、安全な状態、つまり、いつも通りの自分の状態に保とうと、脳が全力で稼働し始めます。
何かを成し遂げるためには、平静を保つことや気持ちの余裕も必要なわけですが、人間は怠惰な生き物ですので、差し迫った状況にならないとなかなか頑張ろうとはしません。
もしくは、心底好きなことであれば、睡眠時間を削ってでも頑張るでしょうけれども、仕事のこととなれば、睡眠時間を削ってでも打ち込めることばかりとはいきません。
ですので、自分の背中を押す推進力を得るためには、日頃から緊張感にさらされることが、その訓練の一つとなります。
緊張感にさらされる、と言っても、何も修行僧のようなことをする必要はありません。
もちろん、アマゾンの奥地に行ってみたり、海外の危険地帯を訪れるなどでもすれば、かなりの緊張感は得られるでしょうけれども、もっと手早く緊張感を得る方法は、「人と話すこと」です。
話す相手は、誰でも構いません。
近所の人に話しかけるのでもいいでしょうし、行きつけのコンビニや飲食店で店員と会話を交わすのでも良いでしょう。
いずれにせよ、人と話す時、少なからず相手との距離感や会話の内容などを気にしながら、一定の緊張感を感じているはずです。
例えば、私などは、プログラミングの仕事に打ち込んでいると、どうしても外出する機会が減ってしまい、自ずと他人と話す機会が少なくなります。
すると、顔にしまりが無くなり、心なしか、表情にだらしなさすら感じるようになります。
そんな状態の時に、電車で打ち合わせに向かい、小一時間クライアントと話して帰宅してみると、鏡に映った顔は引き締まり、表情からだらしなさが消え去っています。
その話だけを聞くと「だから何だ」と思うかもしれませんが、適度な緊張感にさらされると、脳は明らかに活性化した気分になり、自然と視界が広がり発想力も拡大します。
それは何故かと言えば、「緊張感」を感じながら、その環境に順応しようとホメオスタシスが働いた結果、脳がフル回転し、新たな環境に自分が適応するからです。
「私はコミュ障だから」と言った方も、無理やり人と話す必要はありません。
適度な緊張感を感じることができるならば、電車やバスに乗って出かけるのでもいいでしょうし、知らない土地やお店を開拓してみるのでも良いでしょう。
直接関わることが無くとも、自分自身が他人にのいる環境に晒されると、必ず「緊張感」が生まれ、新しい気持ちが芽生えているはずです。
この小さな緊張感を積み重ねることにより、物事に対する感度も高くなり、気づきを得る機会はどんとんと増えていきます。
そして緊張感を味わうことに慣れてくると、より大きな緊張の場面にも臆することなく挑むことができるようになり、やがて、自身の「コンフォートゾーン」は高いレベルへと近き、潜在意識の感度は一段とアップグレードしていることでしょう!